高市政権が進める外国人政策の厳格化に、大きな関心が集まっています。
特に注目されているのが、永住権を取得するための年収や年金、日本語能力に関する新基準です。
結論からいうと、2026年8月13日現在、公表されているのは永住許可ガイドラインの改定案です。
すべての変更が、すでに施行されたわけではありません。
年収についても、全国一律で「何万円以上」とする固定額は公表されていない状況です。
改定案では、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回るかどうかが判断材料になります。
さらに、将来受け取る年金、日本語能力、納税状況、子供の就学なども確認される見通しです。
この記事では、永住許可の新要件がいつから始まり、誰に影響するのかを詳しく整理します。
高市政権の外国人政策厳格化で何が変わる?2026年の変更点
2026年8月4日、出入国在留管理庁は永住許可ガイドラインの改定案を公表しました。
意見募集は同年9月4日午前0時まで行われる予定です。
改定案で新たに具体化された主な審査項目は、次のとおりです。
- 世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る年収
- 将来の年金受給見込額と不足分を補う金融資産
- 日本語教育の参照枠でB1相当以上の日本語能力
- 日本の制度や生活上のルールに関する理解
- 学齢期にある子供を小学校や中学校へ通わせているか
- 税金、年金、健康保険料などを適切に納めているか
- 長期間の出国などを含む日本での居住実態
これまでも収入や納税状況は審査されていましたが、判断方法がより具体化される形です。
ただし、現段階では意見募集にかけられている改定案であり、最終決定ではありません。
外国人政策はなぜ厳しくなった?高市政権が示す理由
政府は、外国人政策を厳格化する理由として、ルールを守る人との公平性を挙げています。
一部で税金や社会保険料の未納、在留資格に関する問題が指摘されてきました。
こうした事例に対する国民の不安や不公平感へ対応する狙いがあります。
小野田紀美(おのだ きみ)担当相は、秩序が共生社会の土台になると説明しています。
外国人にも社会の一員として責任ある行動を求めるというのが、政府の基本姿勢です。
一方、一部の問題を在留外国人全体の傾向として扱うことには慎重さも必要でしょう。
制度上の問題と個別の違反行為を分け、客観的な統計で検証する視点が欠かせません。
永住権の年収要件はいくら?日本人世帯の平均が基準
最も気になるのが、永住許可を得るには年収がいくら必要になるのかという点です。
改定案には、具体的な最低年収額は記載されていません。
基準になるのは、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準です。
単身者と、配偶者や子供を扶養している人では、比較対象となる金額が異なります。
現在の制度にも「年収300万円以上」という全国一律の公式基準はありません。
年収300万円という数字は、これまでの許可事例から語られてきた実務上の目安です。
出入国在留管理庁が公式に定めた、絶対的な合格ラインではない点に注意が必要です。
新しい年収水準の具体額は、今後の公表資料や運用方法を確認する必要があります。
単身・夫婦・子供ありで必要年収は違う?世帯人数別の判定方法
改定案では、申請者個人ではなく、原則として同一生計世帯を単位に審査します。
同じ住居で暮らし、家計を共にする人の集まりが、ここでいう世帯です。
| 世帯の状況 | 年収審査の考え方 |
|---|---|
| 単身世帯 | 申請者本人の年収を確認 |
| 共働き夫婦 | 条件を満たす配偶者の年収を合算 |
| 子供がいる世帯 | 子供を含む世帯人数に応じて判断 |
| 海外の親族を扶養 | 同居していなくても世帯人数へ加算 |
| 5人以上の世帯 | 生活費などの増加分を基準へ加算 |
扶養している家族が多いほど、求められる世帯年収も高くなる仕組みです。
収入だけでなく、誰を扶養しているのかを正確に整理する必要があります。
配偶者の収入は合算できる?家族滞在や成人した子供の扱い
配偶者の収入は、どのような在留資格で働いているかによって扱いが変わります。
就労を目的とした在留資格を持つ配偶者の収入は、世帯年収に合算できる場合があります。
一方、家族滞在で資格外活動をして得た収入は、原則として合算対象になりません。
資格外活動は、例外的かつ限定的に認められた就労だからです。
また、成人して父母の扶養から外れている人は、独立した収入状況を確認されます。
家族全員の給与を無条件で合計できる制度ではないため、在留資格の確認が重要です。
年金30年水準とは何?将来の年金受給見込額も審査
改定案では、現在の収入に加えて、老後に受け取る年金も考慮するとしています。
基準は、日本人世帯の平均を上回る年収で30年間働いた場合の厚生年金相当額です。
申請者の年齢、これまでの加入期間、平均年収、現在の年収などから将来額を推計します。
会社員だけでなく、自営業だった期間や国民年金の加入状況も確認対象になります。
「厚生年金へ30年間加入していなければ申請できない」という意味ではありません。
30年間加入した場合に受け取れる年金額を、比較の基準として使う仕組みです。
具体的な年金額は公表されておらず、今後の運用を見なければ判断できません。
年金が基準未満でも金融資産で補える?預貯金の評価
年金受給見込額が基準に届かない場合でも、直ちに不利になるとは限りません。
不足する老後資金を補える金融資産があれば、基準に達したと評価する案があります。
金融資産には、一般的に預貯金や換金可能な資産が想定されます。
ただし、何が対象となり、いくらあれば十分なのかは、まだ明確に示されていません。
必要な補填資産額は、申請時の年齢によって変わります。
若い人は年金受給開始まで資産を形成できる期間が長いため、基準が低くなる考え方です。
年金の受給開始年齢に近い人ほど、より多くの金融資産が求められる可能性があります。
永住許可の新要件はいつから?2027年4月の適用案
改定案では、ガイドライン全体を2027年4月1日以降の申請から適用するとしています。
そのため、すべての新要件が2026年10月から一斉に始まるわけではありません。
ただし、年収と公共負担に関する項目には、通常とは異なる適用方法があります。
この2項目は、改定日の6か月前以降に提出された申請にも適用する案です。
対象になるのは、改定日に審査が終わっていない申請です。
最終的な改定日が確定しなければ、遡って適用される具体的な開始日も決まりません。
申請を予定している人は、報道上の日付だけで判断しないほうがよいでしょう。
すでに永住申請中の人も対象?遡及条件を詳しく解説
改定案どおり決定された場合、申請済みの人にも新基準が適用される可能性があります。
ただし、過去のすべての申請へ無制限に遡る内容ではありません。
対象となる可能性があるのは、次の条件に該当する申請です。
- ガイドライン改定日の6か月前以降に申請している
- 改定日の時点で許可または不許可の処分が出ていない
- 年収または公共負担に関する審査項目が関係している
日本語能力や子供の就学などは、原則として2027年4月以降の申請が対象となる案です。
申請日と審査状況により扱いが変わるため、個別に確認する必要があります。
日本語能力B1は必須になる?求められるレベルと対象外の人
改定案には、日本語教育の参照枠でB1相当以上という基準が盛り込まれました。
B1は、身近な話題について要点を理解し、自分の考えを説明できる段階です。
日常生活や職場、地域社会で必要なやり取りを行える能力が想定されています。
ただし、B1の資格を持っていなければ必ず不許可になるとは書かれていません。
ガイドライン上では、あくまで永住許可を判断する考慮要素とされています。
また、申請者本人へB1相当を求めない例も示されました。
- 一定の高度人材外国人とその家族
- 日本で初等教育または中等教育を通算6年以上受けた人
- 一定条件を満たす日本生まれの永住者の子供
どの試験や証明書が使えるのかについては、今後の詳細発表を待つ必要があります。
日本の制度やルールの確認とは何?子供の就学も審査
改定案では、日本の制度や生活上のルールを理解しているかも確認します。
出入国在留管理庁の「生活・就労ガイドブック」が、確認内容の中心になる予定です。
税金、社会保険、交通、災害、医療、雇用などが対象になると考えられます。
指定された方法により、一定水準以上の理解があるかを確かめる方針です。
学齢期の子供がいる場合は、小学校または中学校へ通っているかも確認します。
申請者本人が学齢期の場合も、学校へ通学していることが考慮要素になります。
家庭の事情や人道上の配慮を含め、最終的には個別に判断されるとみられます。
永住許可には日本在留10年が必要?配偶者や高度人材の特例
永住許可では、原則として日本へ引き続き10年以上在留していることが求められます。
そのうち5年以上は、一定の就労資格または居住資格で在留している必要があります。
ただし、すべての人に10年の在留期間が求められるわけではありません。
- 日本人や永住者の配偶者には婚姻期間と在留期間の特例
- 定住者は原則として定住者の資格で5年以上在留
- 高度人材ポイント70点以上は一定条件で3年以上
- 高度人材ポイント80点以上は一定条件で1年以上
- 特別高度人材は一定条件で1年以上
配偶者に関する期間も改定案で変更されているため、現行制度との混同に注意が必要です。
長期の海外滞在があると不許可になる?出国期間の基準
永住許可では、日本に生活の本拠があるかどうかも重要な審査項目です。
改定案では、過去10年間の出国状況について具体的な目安が示されました。
合理的な理由なく、1回の出国で半年以上不在だった場合は消極的に評価されます。
過去10年間の不在期間が、合計2年6か月以上の場合も同様です。
仕事上の海外赴任、家族の介護、治療など、合理的な事情がある場合は個別に判断されます。
出国期間だけで機械的に不許可が決まる制度ではありません。
長期出国の理由や、日本に生活基盤があることを示す資料が重要になります。
税金・年金の未納や生活保護受給はどうなる?審査内容
永住申請では、税金や社会保険料を納期限までに支払っているかが確認されます。
対象になるのは、所得税や住民税だけではありません。
法人税、固定資産税、健康保険料、公的年金なども審査に関係します。
申請時に未納がなくても、過去に滞納処分を受けていれば消極的に評価されます。
申請直前にまとめて支払えば、過去の納付遅れが消えるわけではありません。
生活保護の受給だけで、直ちに永住許可が不可能になるとも断定できません。
病気や失業など、公共の負担となった事情も含めて総合的に判断するとされています。
この項目についても、原則として同一生計世帯を単位に確認される見通しです。
永住権は税金未納で取り消される?2027年施行の改正入管法
永住申請時の審査と、取得した永住者の在留資格取り消しは別の制度です。
2027年4月1日施行予定の改正入管法では、取り消し事由が追加されます。
対象として示されているのは、故意に公租公課を支払わない場合などです。
税金や社会保険料の未納が一度あれば、すぐ取り消されるという内容ではありません。
病気や失業により、やむを得ず支払えなかった事情も考慮されます。
永住資格の取り消しだけでなく、別の在留資格へ変更する仕組みも設けられる予定です。
「未納イコール即時取り消し」とする説明は、制度を正確に表していません。
永住許可の手数料20万円はいつから?現在の1万円から変更
永住許可の手数料を、現在の1万円から20万円へ引き上げる政令案も公表されています。
施行予定日は2026年10月1日です。
手数料は申請を提出した時ではなく、永住許可を受ける際に納付します。
| 手続き | 現在 | 改定案 |
|---|---|---|
| 永住許可 | 1万円 | 20万円 |
| 在留資格変更・更新 | 窓口6千円 | 期間別で最大7万5千円 |
政府は、永住許可の審査費用や在留管理に必要な経費を積算根拠に挙げています。
永住許可後の平均在留期間を13.5年程度として、受益に応じた負担も加えています。
2026年8月13日時点では政令案の段階なので、正式決定の確認が必要です。
帰化要件は5年から原則10年へ変更?国籍法改正との違い
帰化については、2026年4月から審査運用が厳格化されました。
ただし、国籍法が定める「引き続き5年以上日本に住所を有する」という条文は同じです。
法律上の住所条件そのものが、5年から10年へ改正されたわけではありません。
日本社会に融和しているかを審査する際、原則10年以上の在留を求める運用です。
永住許可では原則10年であるのに、帰化が5年なのは不均衡だという指摘が背景にあります。
日本人の配偶者や、日本社会への特別な貢献が認められる人などには例外があります。
永住許可と帰化は、似ているように見えて法的な効果が異なります。
- 永住許可は外国籍を維持したまま日本に永住する在留資格
- 帰化は現在の国籍を原則離脱して日本国籍を取得する制度
在留外国人412万5395人はなぜ過去最多?量的マネジメントとは何か
出入国在留管理庁によると、2025年末の在留外国人数は412万5395人でした。
前年末より35万6418人増え、初めて400万人を超えています。
増加率は9.5%で、在留外国人数として過去最多を更新しました。
在留資格別では、永住者が94万7125人で最も多くなっています。
背景には、生産年齢人口の減少や、人手不足に伴う外国人材の受け入れがあります。
政府は2026年8月7日、外国人受け入れの基本方針を検討する会合を開きました。
そこで議論されるのが、在留外国人の人数や比率を管理する量的マネジメントです。
現時点で、外国人比率の具体的な上限が決定したわけではありません。
将来の人数を推計し、経済や地域社会への影響を分析したうえで方針をまとめる段階です。
小野田紀美担当相は誰で何者?経歴と外国人政策での役割
小野田紀美(おのだ きみ)担当相は、外国人政策の司令塔を担う国務大臣です。
1982年12月7日生まれで、岡山県出身です。
2005年に拓殖大学政経学部政治学科を卒業しました。
東京都北区議会議員を経て、2016年の参議院議員選挙で初当選しています。
法務大臣政務官や防衛大臣政務官を務めた経歴があります。
2025年10月、第1次高市内閣で外国人との秩序ある共生社会推進担当に就任しました。
2026年2月に発足した第2次高市内閣でも、同じ政策分野を担当しています。
永住許可だけでなく、土地取得、在留管理、日本語学習など幅広い政策を所管します。
日本は外国人に選ばれない国になる?人手不足と経済への影響
外国人政策の厳格化には、ネット上でも賛否の声が上がっています。
賛成する意見では、納税や社会保険料を適切に納める人との公平性が重視されています。
永住許可は長期的な法的地位なので、高い基準が必要だという考え方です。
一方、条件や費用を急激に引き上げれば、人材獲得競争で不利になるとの懸念もあります。
日本では介護、建設、宿泊、外食、製造など、さまざまな分野で人手不足が続いています。
外国人材が来なくなれば、企業活動や地域のサービス維持に影響する可能性があります。
特に永住手数料20万円は、家族で生活する外国人にとって大きな負担です。
高度人材だけを選別しても、地域を支える人手不足が解消されるとは限りません。
重要なのは、厳しくするか緩くするかという二者択一だけではないでしょう。
基準を明確にし、ルールを守る人が将来を予測できる制度にすることが求められます。
永住申請を考えている人は、次の項目を早めに確認しておくと安心です。
- 申請者と家族の在留資格
- 世帯人数と扶養している海外親族
- 過去の年収と今後の収入見込み
- 年金の加入記録と将来の受給見込額
- 税金や社会保険料を期限内に納めた記録
- 日本語能力を証明できる試験や学歴
- 子供の就学状況
- 過去10年間の出国回数と不在期間
- 申請日と現在の審査状況
2026年8月13日現在、永住許可ガイドラインはまだ改定案です。
年収の具体額や証明方法など、今後明らかになる項目も少なくありません。
申請時には、出入国在留管理庁やe-Govの最新情報を確認することが大切です。
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