2026年8月6日、81回目となる「原爆の日」の早朝、広島市中区の原爆ドーム前で座り込みを続けていた活動家ら約40人が、広島県警によって平和記念公園の外へ移動させられました。

排除されたのは、矢嶋尋(やじま・ひろ)さんが委員長を務める全日本学生自治会総連合、いわゆる全学連などのメンバーです。

活動家らは8月6日午前0時ごろから原爆ドーム前で座り込みを開始しましたが、午前5時から始まる平和記念公園の入場規制に伴う退去要請に応じませんでした。

広島市は条例に基づいて退去を命令し、広島県警は威力業務妨害に当たる可能性を伝えた上で、午前6時ごろまでに約40人全員を園外へ移動させたと報じられています。

今回の出来事では、「中核派と全学連は同じ団体なのか」「なぜ座り込んだのか」「全員排除に法的根拠はあるのか」など、さまざまな疑問が生じています。

さらに、2023年に発生した広島市職員への集団暴行事件をきっかけに、式典の民間警備費が約9倍に増えていることも注目されています。

何があったのか、団体同士の関係や警備費が増えた理由まで順番に整理します。

2026年の広島平和記念式典で何があった?全学連約40人が全員排除

広島市は2026年8月6日午前8時から、平和記念公園で原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を開催しました。

式典に先立つ午前0時ごろ、矢嶋尋さんが率いる全学連などのメンバー約40人が、原爆ドーム前で座り込みと集会を始めます。

広島市は午前5時から午前9時まで、公園利用者の入場を規制すると事前に発表していました。

午前5時になると、市職員と広島県警が公園内にいた活動家らに園外へ移動するよう求めました。

しかし、活動家らは移動せず、その場で抗議を続けたとされています。

広島市から要請を受けた機動隊員が活動家を一人ずつ移動させ、午前6時ごろまでに約40人全員を公園の外へ出しました。

2026年の式典は午前8時に始まり、午前8時50分に閉式する日程で、一般参列者の入場は午前6時から行われました。

全学連はなぜ原爆ドーム前に座り込んだ?入場規制への抗議が理由

全学連側が座り込みを行った直接の理由は、広島市による平和記念公園への入場規制に抗議するためです。

矢嶋尋さん側の全学連は、2026年7月に公式サイトで8月6日の行動予定を公表していました。

その内容には、8月6日午前0時から原爆ドーム前で座り込みを始め、午前7時から集会を行う計画が記載されています。

全学連側は、広島市の規制によって反戦や反核を訴える表現活動が制限されると主張しています。

一方、広島市は、式典参列者の安全を確保し、式典を円滑に進めるために規制が必要だと説明しました。

両者の対立は、反戦活動の内容だけではありません。

公共の公園で表現活動を行う自由と、多くの参列者や要人が集まる式典の安全を、どのように両立させるかという問題でもあります。

広島県警が全員を強制排除した理由はなぜ?退去命令までの時系列

活動家らが園外へ移動させられたのは、入場規制が始まっただけでなく、広島市の退去要請と退去命令に応じなかったためです。

  • 8月6日午前0時ごろ:原爆ドーム前で座り込みを開始
  • 午前5時前:市職員と警察官が退去を呼びかける
  • 午前5時:平和記念公園全体の入場規制が開始
  • 市が再三にわたり園外への移動を要請
  • 活動家らが退去を拒否して抗議を継続
  • 広島市が市公園条例に基づいて退去を命令
  • 広島県警が威力業務妨害に当たる可能性を通告
  • 午前6時ごろ:約40人全員を園外へ移動

広島市が事前に公表した規制内容では、ほかの公園利用者の通行を妨げる行為や、市職員による移動要請に従わない行為が禁止されています。

中止要請に応じない場合、市公園条例に基づき園外への退去を命じることがあるとも明記されていました。

排除された全学連メンバーは逮捕された?けが人やその後を調査

今回報じられた「排除」は、活動家らをその場で逮捕したという意味ではありません。

確認できる報道では、機動隊員が約40人を平和記念公園の外へ移動させたとされています。

少なくとも午前7時台までの報道には、座り込みに参加した約40人全員が逮捕されたとの記載はありません。

けが人が出たという具体的な発表も確認されていません。

ただし、園外へ出た後も一部のメンバーは歩道で抗議を続け、警察から滞留行為について警告を受けたと報じられました。

「排除」「連行」「逮捕」は意味が異なります。

映像だけを見ると逮捕されたように感じる場合がありますが、警察が身体を支えて園外へ移動させただけでは、直ちに逮捕を意味するわけではありません。

中核派と矢嶋尋委員長の全学連は同じ団体?内紛と離脱の関係

中核派と全学連の関係は複雑です。

そもそも全学連は「全日本学生自治会総連合」の略称ですが、歴史的な分裂を経て、異なる政治的立場を持つ複数の全学連が存在しています。

警察庁はこれまで、革命的共産主義者同盟全国委員会、通称・中核派の影響下にあるグループを「中核派系全学連」と記載してきました。

矢嶋尋さんも、2025年までは自身を中核派の学生組織に所属する立場として公表していました。

しかし、2025年に組織内部で対立が発生します。

矢嶋尋さん側は、中核派の政治局や全国委員による対応を批判する声明を出し、2026年には新たな政治組織の結成を目指す方針を表明しました。

そのため、2026年8月5日の中核派による前夜集会と、8月6日未明の矢嶋尋さん側による座り込みは、同じ行動として扱わない注意が必要です。

矢嶋尋委員長とは誰で何者?年齢・経歴・学歴を調査

矢嶋尋さんは、全日本学生自治会総連合の委員長です。

全学連の公式プロフィールによると、1999年生まれで、学習院大学文学部に所属しています。

2018年に学習院大学へ入学し、2020年秋ごろから全学連の活動に参加しました。

その後、東京五輪反対運動、安倍晋三元首相の国葬反対運動、三里塚闘争、G7広島サミット反対運動などに関わっています。

2024年9月12日から13日に開かれた全学連の定期全国大会で、委員長に選出されました。

1999年生まれであるため、2026年中に26歳または27歳になる世代と考えられます。

正確な誕生日や出身地、家族構成などは、確認した公式プロフィールには掲載されていません。

顔写真については、全学連の公式サイトや活動報告に本人として掲載された画像があります。

洞口朋子杉並区議とは誰で何者?経歴や中核派との関係

洞口朋子(ほらぐち・ともこ)さんは、東京都杉並区議会議員です。

議員活動では、氏名を平仮名にした「ほらぐちともこ」の名義を使用しています。

杉並区議会の公式情報によると、2026年5月時点で当選2回、議席番号は3番です。

所属会派は「都政を革新する会」で、都市環境委員会などに所属しています。

本人の公式サイトによると、宮城県仙台市出身で、2008年に法政大学へ入学しました。

大学入学後に全学連の活動へ参加し、2019年の杉並区議会議員選挙で初当選しています。

2026年8月5日の広島で行われた前夜集会では、「中核」と書かれたヘルメットを着用し、平和記念式典や高市早苗首相の政策を批判する演説を行ったと報じられました。

「高市打倒・式典粉砕」とは何を言った?前夜集会を開いた理由

8月5日夕方、平和記念公園では「8.6ヒロシマ大行動実行委員会」による前夜集会が開かれました。

参加者らは、高市早苗首相や米国のトランプ政権を批判し、現在の安全保障政策が中国との戦争や核戦争につながると主張しました。

「高市打倒」や「式典粉砕」という表現は、高市早苗首相個人への私的な不満というより、政府の安全保障政策や平和記念式典の政治的な位置付けに反対するスローガンとして使われています。

2026年8月時点で、高市早苗氏は第105代内閣総理大臣を務めています。

ただし、「打倒」や「粉砕」という強い表現は、追悼と慰霊の場には適さないと感じる人も多く、ネット上では厳しい批判が相次ぎました。

8.6ヒロシマ大行動と8.6ヒロシマ行動実行委員会の違いは何?

今回の出来事を理解する上で重要なのが、似た名称を持つ二つの実行委員会です。

  • 8.6ヒロシマ大行動実行委員会
  • 反戦・反核・反原発 8.6ヒロシマ行動実行委員会

8月5日夕方に数百人規模の前夜集会を開いたのは、「8.6ヒロシマ大行動実行委員会」と報じられています。

一方、8月6日未明から座り込みを行った約40人は、矢嶋尋さんらが参加する「反戦・反核・反原発 8.6ヒロシマ行動実行委員会」のメンバーです。

名称が非常に似ているため、二つの集会が同一団体による一連の行動に見えます。

しかし、2026年は中核派内部の対立によって参加者が分かれており、報道でも別のグループとして説明されています。

2023年の中核派集団暴行事件で何があった?広島市職員への体当たり

現在の厳しい入場規制が導入される大きなきっかけとなったのが、2023年8月6日の事件です。

事件は午前5時50分ごろ、原爆ドーム北側の通路付近で発生しました。

広島市職員は、式典関係者や公園利用者が通行できるように通路を確保していました。

その際、中核派活動家の男性5人が市職員に体当たりするなど、集団で暴行したとして逮捕されました。

5人は暴力行為等処罰に関する法律違反、いわゆる集団的暴行の罪で起訴されています。

広島市は翌2024年の式典から、従来は式典会場周辺が中心だった規制範囲を、原爆ドームを含む平和記念公園全体へ拡大しました。

市は公式に、2023年に原爆ドーム周辺で起きた衝突を受け、再発防止のために警備体制を見直したと説明しています。

逮捕・起訴された中核派活動家5人は誰?氏名や顔画像は公表された?

2023年の事件で逮捕・起訴されたのは、中核派活動家の男性5人です。

一方、今回確認した広島市の発表や裁判所の公開情報には、5人全員の氏名や顔写真をまとめた記載はありません。

ネット上では人物を特定しようとする投稿が見られる可能性がありますが、公式発表や信頼できる報道で裏付けられていない情報は慎重に扱う必要があります。

広島高等裁判所の公式情報では、2026年7月30日に暴力行為等処罰に関する法律違反事件の判決公判が開かれたことが確認できます。

氏名が公表されていない人物について、集会の画像やSNS写真だけで被告人だと決めつけることはできません。

中核派活動家5人が執行猶予付き判決になった理由はなぜ?

報道によると、広島地方裁判所は5人にそれぞれ懲役1年2カ月を言い渡しました。

このうち1人には執行猶予4年、残る4人には執行猶予3年が付けられています。

5人側は判決を不服として控訴しましたが、2026年7月30日、広島高等裁判所は一審判決を支持したと報じられました。

執行猶予が付いた詳しい理由は、判決文の全文を確認しなければ断定できません。

一般的な刑事裁判では、行為の内容や結果、被告人の前科、反省状況、再犯の可能性など、複数の事情を踏まえて実刑か執行猶予かが判断されます。

執行猶予付き判決は無罪ではありません。

一定期間、新たな犯罪を起こさずに過ごせば刑務所への収容を猶予するという有罪判決です。

広島平和記念式典の警備費が約9倍になった理由はなぜ?

広島市が民間業者へ委託する式典の警備費は、2023年以降に大幅に増加しました。

  • 2023年:382万5800円
  • 2024年:2562万4500円
  • 2025年:3280万2000円

2023年と比較すると、2024年は約7倍、2025年は約9倍です。

増額の大きな理由は、ゲート型金属探知機の設置と運用だと広島市は説明しています。

さらに、規制範囲を原爆ドーム周辺まで広げたことで、入口や規制線を担当する警備員の人数も増やす必要がありました。

2015年から2020年ごろまでの委託費は、毎年約150万円だったと報じられています。

長期的に見れば、警備費は約20倍の規模にまで増えたことになります。

金属探知機や警備員はなぜ必要になった?安全対策の違い

広島市は、2026年の式典でも午前5時から午前9時まで、平和記念公園への入場を規制しました。

一般参列者は公園の入口で手荷物検査を受け、式典会場の参列者席に入る前に金属探知検査を受けます。

公園内への持ち込みが制限されたものには、危険物だけでなく、拡声器、楽器、横断幕、プラカードなども含まれます。

ヘルメットや鉢巻、ゼッケンなどの着用も禁止対象です。

また、大人数で滞留して通行を妨げる行為や、規制線を突破する行為も禁止されています。

平和記念式典には首相をはじめ、各国の代表者や被爆者、遺族、子供たちが参列します。

広島市は、2023年の事件がなければ原爆ドーム周辺まで規制を広げることはなかったとの見解を示しています。

平和記念公園の入場規制に法的根拠はある?広島市と弁護士会の主張

広島市は、平和記念公園内で通行を妨げたり、警備のための移動要請に従わなかったりした場合、市公園条例に基づいて退去を命じられるとしています。

2026年の公式案内にも、禁止行為の中止要請に従わない場合は、園外への退去を命じることがあると記載されています。

一方、広島弁護士会は2025年1月、2024年に実施された規制について反対する会長声明を出しました。

声明では、公園全域で表現活動を制限した規制には法的根拠がなく、表現の自由や信教の自由を侵害するとの見解が示されています。

広島弁護士会は、安全な式典の実施が重要であることを認めつつも、規制の範囲が必要最小限だったのかを問題視しました。

つまり、広島市は安全確保と条例を根拠に規制の必要性を主張し、弁護士会は公園全域への一律規制は過度だと主張しています。

デモ活動と式典妨害は何が違う?表現の自由と安全を巡る論点

日本では、政治的な意見を表明したり、集会やデモを行ったりする自由が憲法によって保障されています。

政府の政策や平和記念式典のあり方を批判すること自体が、直ちに違法になるわけではありません。

一方、表現の自由があるからといって、他人の通行を妨げたり、職員に接触したり、式典の進行を物理的に止めたりする行為まで無条件に認められるわけでもありません。

今回の問題では、意見の内容よりも、規制時間中に公園内へ滞留し、退去命令に応じなかった行為が排除の直接的な理由になっています。

表現の自由を守りながら、被爆者や遺族が静かに祈る環境をどう確保するか。

今後も広島市、法律家、活動団体、市民の間で議論が続くと考えられます。

矢嶋尋・洞口朋子・全学連のXやYouTubeなど公式SNSまとめ

矢嶋尋さん個人については、本人のものと断定できる独立した公式InstagramやFacebookアカウントは、確認した公式プロフィールには掲載されていません。

活動内容は、矢嶋尋さんが委員長を務める全学連の公式サイトや公式Xで発信されています。

  • 全学連公式X:@Zengakuren
  • 全学連公式サイト:矢嶋委員長と明記されたサイト

公式サイトには、2026年の広島での座り込みやデモの予定も掲載されていました。

洞口朋子さんは、公式サイトからX、YouTube、TikTokへリンクしています。

  • 公式X:@HoraguchiTomoko
  • 公式YouTubeチャンネル
  • 公式TikTok:@horaguchitomoko
  • 杉並区議会公式プロフィール

同姓同名のアカウントや、本人の動画を無断転載した切り抜きアカウントもあるため、公式サイトからリンクされているアカウントを確認することが重要です。

広島平和記念式典の全員排除と警備強化は今後どうなる?

2026年の座り込みは、広島県警によって午前6時ごろまでに全員が園外へ移動させられ、前年より騒ぎは限定的だったと報じられています。

中核派側と矢嶋尋さん側が分かれて行動したことも、参加者が分散した理由の一つとみられます。

しかし、広島市が入場規制を続ける限り、規制に反対する団体による抗議が翌年以降も行われる可能性はあります。

2023年の集団暴行事件を受けて導入された安全対策は、2024年、2025年、2026年と継続されました。

金属探知機や多数の警備員が配置される現在の体制は、すぐに事件前の規模へ戻るとは考えにくい状況です。

一方で、毎年3000万円を超える警備費を公費で負担し続けることへの疑問も強まっています。

ネット上では、活動団体へ費用を請求できないのか、罰則を強化すべきではないかという意見がある一方、規制が表現活動を過度に制限しているとの指摘もあります。

広島平和記念式典は、原爆で亡くなった人々を追悼し、核兵器の廃絶と恒久平和を願うための式典です。

政治的な意見が異なっていても、参列者の安全を脅かさず、被爆者や遺族が静かに祈れる環境を守ることが、最も大切な前提ではないでしょうか。